ちょいNAVIのヘッドホン出力

スピーカーとマイク、マイクアンプを揃えたところまでは、前回の記事に書きました。その後、ボリュームアンプを分解して取り出した低電圧パワーアンプIC TDA2822Mを使い、ほぼデータシートどおりのステレオアンプをブレッドボードに組んでいます。回路図はこちら。

★TDA2822Mステレオアンプ回路図

別に特筆することはないですよね。TDA2822Mの特徴といえば乾電池2本の低電圧で駆動できること、一般的なOPアンプのような負電源がいらないこと、でしょうか。

このアンプにちょいNAVIのステレオミニジャックからとった出力を直接つないでみます。
…鳴りません。ちょいNAVI本体のスピーカーから音が出ています。

ちょいNAVIの代わりに、AU携帯W53CAやPCのヘッドホン出力をつないでみます。
…ちゃんとアンプにつないだスピーカーが鳴ります。

ちょいNAVIに繋ぎなおし、プラグを徐々に抜いていきます。
…完全に差し込んでいるとダメですが、半差しでは左側だけ音が出ました。

いったい何が違うのでしょう?

半挿しだと片側だけ鳴るが全挿しだとダメという点においては、以前紹介したこちらにも同様の記述があります。以下引用。

■イヤフォンジャック
なぜかFMトランスミッタ(XL-739) とつないだ場合奥まで差し込むとイヤフォンに切り替わりません。浅く刺すと切り替わるのですがモノラルになってしまいます。延長ケーブルも試してみたのですが変化ありませんでした。
入力を2分配するコードの片方にナビ、もう片方にFMトランスミッタをつなげたところイヤフォンに切り替わるようになりました。

同じ現象だと思われます。個体差ではなくちょいNAVIすべてに当てはまるといえそうです。

ステレオミニプラグの端子は先端からL、R、GNDという割付になっていますよね。
ジャックに差し込まれているプラグを徐々に抜いていくとどうなるのでしょう。模式図を描いてみました。

★ステレオミニプラグを半挿しにすると…

上が全挿し、下が半挿しです。

ジャック内部の寸法的なところが不明なので想像でしかないのですが、ジャック(メス)側のRがプラグ(オス)側のどこに接触しているのかで音が出る出ないが決まっているようです。プラグのLとRの間の絶縁部に接触していて電気的に浮いているときか、GNDに落ちているときか、不完全に接触して適度に抵抗のあるときか、どれかはよくわかりません。

ここでデジタルテスタを持ち出して、ちょいNAVIで音楽を鳴らしているときのステレオミニプラグの各端子間の直流電圧を測ってみました。線の色は青がL、赤がR、銅色がGNDです。

R-GND間 … +2.8V前後
L-GND間 … +10mV前後

なんだかずいぶん差があります。試しに前述のAU携帯W53CAやPCのヘッドホン出力を測ってみましたが、どちらもほぼ0に近くて左右の差はほとんどありませんでした。

解析機関Gにきいてみると、出力にDC電圧がでているこの現象は俗に「DC漏れ」と呼ばれているようで、オーディオの世界では重篤な故障状態のようです。おいおい。

ではなぜ半挿しで左からだけ音が出るのでしょう。

ここで試作時の回路図をよくみてみます。ちなみに試作時は両方のスピーカーから音が出ていました。

★試作回路抜粋

アンプの入力にはパッシブミキサーと呼ばれる回路がついています。抵抗だけでつくる簡易ミキサーです。抵抗をかますのでどうしても音が小さくなります。
ここで注目すべきは、マイクアンプの出力とちょいNAVIの出力を混合した後、3.3kΩの抵抗でGNDに落としている点。パッシブミキサーの回路図をWebで探すと、このGNDに落とす抵抗があるものとないものがあります。

R-GND間にのみ抵抗を追加して、ちょいNAVIとアンプをつないでみました。
案の定、左右から音が出るようになりました。

アンプとつながずにR-GND間の電圧を測定しながら抵抗値を変化させ、電圧+10mV前後になるような抵抗値を探ります。10~50Ω程度がよさそうです。

R-GND間の抵抗を10Ωとして、ちょいNAVIとアンプをつないでみます。
右からの音がだいぶ小さいです。
結局、1k~3.3kΩ程度でだいたい左右の音量が揃いました。

さーて、よくわからなくなってきましたよ。
どうやら自分は、すごく難しいことに挑戦しているような気がしてきました。

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