【完成】自作タンデム&ミキシングアンプ

2ヶ月に渡る試行錯誤の末、ついに完成しました。タンデムシートのパッセンジャーと会話をしつつ、PNDの音声案内と音楽を共有するための機材一式、一般的には「タンデム&ミキシングアンプ」と呼ばれるものです。有線式です。

★機材全体

(1)アイソレーションボックス、(2)メインボックス、(3)サブボックス

全体回路図と部品表はこの記事の最後のほうにあります。

1.アイソレーションボックス

ちょいNAVIのヘッドホン出力に対応するためのトランスが入った箱です。アウトプットトランス1KΩ:8Ω ET-81を使用。巻線比1:1のものが入手できればそのほうがいいかもしれません。
詳しいいきさつはタンデム用アイソレーションミキシングアンプアイソレーションボックスの両記事を参照ください。

2.メインボックス

ライダーが持つ箱です。
生えているケーブルは二本で、ステレオミニジャックはアイソレーションボックスへ、USB Aオスはライダーのヘルメットへ接続します。DINソケットはパッセンジャーのサブボックスとつなぐためのものです。外から見えるところでは他に、電源スイッチとスピーカー音量調整用のボリュームがあります。赤く光っているのは電源ON時のパイロットランプです。

ケースはセリアで入手した「生活便利シリーズ カードイン」。外寸99L×62W×21H(突起部含まず)、内寸96L×59W×17Hで、単三×2電池ボックスがきれいに収まるのが決め手でした。
中身が見えると百均バレバレで安っぽく見えるので、内側から黒いPPシートで目隠ししています。(それでもまだダイソーっぽいですが…)

内部はこんな感じです。電池ボックスは後述する「USBポート付充電用電池BOX」を流用。
回路的には大きく4つに分けられます。電源、アクティブミキサー、マイクアンプ、メインアンプです。

電源

★昇圧回路

単三電池2本3Vを5Vに昇圧しています。昇圧回路はセリアで入手できる「USBポート付充電用電池BOX」をばらして利用。使われているIC、コイルやダイオードの定数は不明です。

アクティブミキサー

★ミキサー回路

オペアンプを使った加算増幅器です。一倍なので増幅はしていません。左チャンネルにはライダーの、右チャンネルにはパッセンジャーのマイク出力を、PNDの音声出力とミックスしています。
負電源は使わず、+5Vを抵抗で分圧して仮想正負電源をつくっています。おかげで入力出力ともに+2.5Vのバイアスが掛かるので、10μFのカップリングコンデンサをかましています。
オペアンプは参考にしたサイトそのままでNJM2114DDを使っていますが、ある意味どんなオペアンプでもかまわないでしょう。
ミキサーの出力を単純に分配して、メインボックスとサブボックスのメインアンプへ出力しています。

マイクアンプ

★マイクアンプ回路

2SC1815を使った一石マイクアンプです。こんなものでも出力は充分です。
1.2kΩの抵抗はエレクトレットコンデンサマイクにバイアスをかけるためのもの。1kΩの半固定抵抗でゲインを調整します。実走行で定数を決める必要があるので調整機構は必須。ゲインを高くしすぎると風切り音を盛大にひろってうるさくてかないません。

メインアンプ

★メインアンプ回路

メインアンプはボリュームアンプから部品取りしたパワーアンプTDA2522Mを使ったステレオアンプです。
この石はサーノイズがひどくてヘッドホンアンプには向かないらしいのですが、そもそもの環境がノイジーなのでまったく問題ありません。なお互換品のNJM2073のデータシートで計算したゲインは39倍となり、決して低くはありません。

3.サブボックス

パッセンジャーが持つ箱です。
メインボックスと同様に、USB Aオスはパッセンジャーのヘルメットへ、DINプラグはライダーのメインボックスへとつなぎます。
ケースは「単三×4 小型スライドスイッチ付きBOXケース」で、電池二本分のスペースに基板を詰め込みました。

回路的にはメインボックスからアクティブミキサーを取り除いただけで、他の部分はまったく同じものです。

全体回路図

★全体回路図

以上を踏まえた全体回路図がこれです。画像だと細かい字が見えにくかったりするのでPDF化しました。

SchematicOfMixingAmplifierForTandem.pdf

部品表

  部品名 品番 数量 単価 備考
アイソレーション
BOX
トランス ET-81 2 294  
ステレオミニジャック   1 84  
ステレオミニプラグ   1 100 ヘッドホン延長コード
ケース SW-55B 1 105  
ヘッドセット
(2式)
エレクトレット
コンデンサマイク
  2 100 携帯電話用ハンズフリーイヤホンマイク
スピーカー   2 100 フラットヘッドホン
ステレオミニジャック   2 84  
USB Aコネクタメス   2 100 USBポート付充電用電池BOX
メインBOX トグルスイッチ   1 0 在庫品
昇圧回路   1 0 USBポート付充電用電池BOX
電池BOX   1 0 USBポート付充電用電池BOX
抵抗 330Ω 1 4  
LED 1 0 在庫品
電解コンデンサ 470uF 1 23  
セラミックコンデンサ 0.1uF 1 10  
オペアンプ NJM2114DD 1 180  
電解コンデンサ 10uF 6 10  
抵抗 10kΩ 8 4  
電解コンデンサ 100uF 1 15  
ユニバーサル基板 ICB-288 1 84  
トランジスタ 2SC1815GR 1 6  
電解コンデンサ 1uF 1 10  
半固定抵抗 1kΩ 1 52  
抵抗 1.2kΩ 1 4  
抵抗 200kΩ 1 4  
抵抗 1kΩ 1 4  
基板用2連可変抵抗 10kΩAカーブ 1 178  
つまみ   1 25  
パワーアンプ TDA2822M 1 100 ボリュームアンプ
電解コンデンサ 10uF 2 10  
電解コンデンサ 220uF 2 21  
フィルムコンデンサ 0.022uF 2 20  
抵抗 91Ω 2 4  
抵抗 5.1kΩ 2 4  
抵抗 10Ω 2 4  
DINソケット 8pin 1 105  
ステレオミニプラグ   1 100 ヘッドホン延長コード
USB Aコネクタオス   1 100 巻き取り式USB延長コード
ケース   1 100 生活便利シリーズ カードイン
サブBOX 昇圧回路   1 0 USBポート付充電用電池BOX
抵抗 330Ω 1 4  
LED 1 0 在庫品
電解コンデンサ 470uF 1 23  
セラミックコンデンサ 0.1uF 1 10  
ユニバーサル基板 ICB-288 1 84  
トランジスタ 2SC1815GR 1 6  
電解コンデンサ 1uF 1 10  
半固定抵抗 1kΩ 1 52  
抵抗 1.2kΩ 1 4  
抵抗 200kΩ 1 4  
抵抗 1kΩ 1 4  
基板用2連可変抵抗 10kΩAカーブ 1 178  
つまみ   1 25  
パワーアンプ TDA2822M 1 100 ボリュームアンプ
電解コンデンサ 10uF 2 10  
電解コンデンサ 220uF 2 21  
フィルムコンデンサ 0.022uF 2 20  
抵抗 91Ω 2 4  
抵抗 5.1kΩ 2 4  
抵抗 10Ω 2 4  
DINプラグ 8pin 1 155  
USB Aコネクタオス   1 100 巻き取り式USB延長コード
単三×4ケース   1 126 小型スライドスイッチ付き

総計は3978円となりました。
10ヶ単位での購入だったり、加工に失敗して買いなおしたりしているので、実際にはもっとかかっていますね。まあ5000円弱で2ヶ月間遊べたのでよしとしましょう。
基本的には共立エレショップとセリアで調達しています。線材などは表に含まれていません。

使用感

お盆休み中に実地試験してきました。
パッセンジャーとの会話についてはすこぶる良好。ぬわわkm/h越えでもよく聞こえます。心配していた風切り音は、マイクアンプのゲインを適正に調整してやればほとんど気になりません。
PNDの音楽出力については、低音がごっそり削げ落ちている感じでかなりもの足りません。音質を求める人にはオススメできませんね。トランス、コンデンサ、アンプ、スピーカー、音源のどれかにもうひと手間かけてやれば改善しそうですが、もともとの目的から逸れてしまうのでこのくらいで勘弁してやります。

さあ、次はどこ行く? > 息子よ

コメント

  1. おーき より:

    たのしそうですな。お疲れ様でした。
    そろそろ作るモノがなくなってきたんじゃないですか?
    あ、メットに内蔵のカメラとかどうですか?目立たないヤツ。動画も静止画も撮れて、透過型液晶をシールドに仕込むとか(^o^)
    期待していますよ〜。

  2. kyu より:

    次のネタはぜんぜん考えてないんですが、今回かなり苦戦したので軽めでいきたいですね。
    ってことでメット内蔵カメラはボツです(笑

  3. かっちゃん より:

    完成おめでとうございます。
    結構な金額が掛かりましたね。
    でも、完成度も高く、運用状況も上々ということで、よかったよかった。
    ※ 企画から、完成までの間、わくわくしながら楽しませていただきました。

  4. kyu より:

    そーなんですよね。ケチケチで自作した割には結構高くついてしまいました。電子工作は、一つ一つの部品は安いけれど、ちりも積もればなんとやらってことですね。
    まあそれはそれとして、オーディオやらなんやらの深い世界の一端に触れられたので、経験としては良かったと思ってます。

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