ターボの真実

カスタマックスに実装されているターボ機能、正直とても使いづらいという話は以前ここで書きました。一番困るのが、ステアを切っているときには自動的にキャンセルされてしまうという点です。せっかく速度を上げてドリフト状態に持ち込んでも、コーナーリング中にパワーダウンしてしまうとうまく滑らないからです。
また、自作FET基板にICの脚から直接とった信号を入力しても、ターボが生きていてうまくいかないという話もしました。当時は打開策も見つからずまたラジカン基板の手持ちもあったので、あまり調べもせずに基板換装してしまいました。

TX2C/RX2Cについて探していると、「RC-CAM」というサイトが見つかります。R/Cヘリコプターにビデオカメラを積んで映像も飛ばすという、かなり高尚なことをされているサイトですが、掲示板の発言を追っていくといろいろ興味深いことが書かれています。いわく

「RX2Cでは、9番ピンをGNDに接続するとTurbo機能が使えるようになる」

逆に言うと、9番ピンをGND以外のところ例えばVddにつなぐか、オープンにするかすればTurbo機能はキャンセルできるということです。どうすればいいのかはデータシートを読めばわかりそうです。

なお、本筋とは別の場所に「MicroSizer / BitChar-G Hacks」というページがありました。内容はビットチャージの基板を使ってインドアプレーンをつくるというものですが、電波の飛距離を延ばす方法、1セルで動作させる方法(RX2CにはDC-DCコンバータが内蔵されています)など非常に面白い内容です。

閑話休題。RX2Cのデータシートを見てみましょう。検索してみるとわかりますが、TX2C/RX2Cのデータシートは2種類存在します。
あちこちで多数見かけるのはHLEC(SHENZHEN)のもの。これが曲者で、受信側のピン配置が微妙に異なります。もしかするとTX2/RX2の古いバージョンのものかもしれません。

HLEC版データシート: http://www.hlec.com.cn/www/pdf/TX-2RX-2.pdf

もうひとつ見つけたデータシートはActions Semiconductorのもの。「TX2C ATS302T/RX2C ATS302R」のデータシートです。不思議とメーカーサイトからはダウンロードできません。

Actions版データシート: http://www.datasheetarchive.com/pdf-datasheets/Datasheets-23/DSA-446609.pdf

当初、HLEC版のデータシートを見ていたのですが、9番ピンは「LDB Leftward function is disabled when this pin is connected to GND.(GNDへ接続するとLeftward機能が無効になる)」とあります。RC-CAMの情報とまったく違う機能が割り付けられているようでかなり混乱しましたがActions版データシートを見て納得しました。HLEC版とActions版は違うものなんですね。

かっちゃんさんが検証された内容によると、給電電圧が5.0Vの場合でも、前進ボタンのみ押したときは2.6Vしか出力されません。ターボと前進の両押しではじめて全開(4.0V)になります。これはPWM制御がされているためです。

PWM制御とはPulse Width Modulation、パルス幅変調のことで、高速でON/OFFを繰り返すことで見かけ上の電圧を可変させる制御方法です。ON/OFFの間隔=周波数が一定であれば、ONしている時間が長いほど出力電圧は上がります。(釈迦に説法で恐縮ですが、自分の覚書なのでご勘弁を。)

Actions版の9番ピンは「MOD」という名前で、オープンでHigh、GND接続でLow。Highでターボ無効、Lowでターボ有効になります。
表をみると一目瞭然ですが、ターボ有効(MOD=L)のときは、Forwardのみで「84Hz 66.7% DUTY Pulse」出力、Forward+Turboで全開、Forward+Turbo+Right(Left)でTurboなしと同様になります。ああ、まさにノーマルのカスタマックスですね。ターボ機能というと「通常走行時は100%出力、ターボを効かせると120%」なんて気がしてしまいますが、実は「通常66.7%、ターボ時100%」ということだったんです。

「84Hz 66.7% DUTY Pulse」について補足です。
84Hzは11.9mSec周期なので、11.9mSec×66.7%=7.9mSec
4.0V×66.7%=2.7V
となって、ともにかっちゃんさんの測定結果ともほぼ一致します。

ターボキャンセルの改造は、RX2Cの9番ピンをオープンにするだけなので簡単そうです。近いうちに実施してみましょう。

コメント

  1. かっちゃん より:

    kyuさん 御無沙汰いたしております。そんなに何度も、私のHNを出してもらっては困ります ^^)MODピンの件は、リレー基板の開発も、とうに終え、Tr換装をしている頃になってから、データシートを見つけてガックリしたものです。※開発の最中に、このことを知っていれば、オシロを持ち出すことはきっと無かったことでしょう…。御承知かと思いますが、常時MOD=1とすると、Z(PWM)の選択肢が無くなり、BWD(REV)の時も、Highになってしまいますよね。何時でも全開 !! は楽しいんですけど…。で、結局コントローラを弄って、お茶を濁してしまいました。

  2. kyu より:

    これまた某BBSでは既出の情報でした。うむむ。世の中には同じようなことを考える人がいるんですね。

  3. kyu より:

    かっちゃんさんこんばんわ。Wiki、次回のネタはなんだろうといつも楽しみに読ませてもらっております。9番ピンのMOD、やはりご存知でしたか。この業界では知らないほうが珍しいのかと少々不安になってしまいました(笑)。前進後退常に全開って仕様は、ラジカンでなれているので気になりません。人力PWM(ボタン連打)で克服できますよ。問題はステアモーターにも全開の電圧がかかってしまうこと。ギヤの歯こぼれが心配です。抵抗でもかましてやればいいのかな? このあたり電気シロウトのわたし的には辛いところです。

  4. かっちゃん より:

    >ステアモータの電圧データシートを読むと、MODの状態に関係なくステアモータの出力は「H」ですので、心配は要らないと思いますよ。

  5. kyu より:

    あ、ホントですね。お恥ずかしい。このあたりからして電気シロウトがバレバレです。

  6. まるは より:

     なるほど、こういう仕様になっていたのですか。改めてデータシートを見させて頂きました。→ここにも全く知らないのが一人いますが。操縦が下手なので、トイラジステアリングではMini-zコースを満足に走らせる事ができないため、カスタマックスはさっさとMini-Z基板に載せ変えてしまいました。いまさら基板はどこに置いたかも定かでありません。。。

  7. kyu より:

    Mini-Z主体のまるはさんですから、トイラジのマイコンを知らなくても当然といえば当然ですよ。トイラジはホビラジやミニ四駆と違い、パーツ交換で即高性能が手に入るというものではない、だからいじるには創意工夫が必要だなんて話をどこかで聞きました。もっとも、まるはさんは一般のMini-Zの方々とはちょっと方向性が違うようで、いろいろ試したり失敗したり自作したりと、モノ作りを楽しんでらっしゃいますよね。そういう姿勢、見習わなければと思うのであります。

  8. まるは より:

     トイざラスで、やっと入手する事が出来ました。しかし、棚の下の方に積み上げられている状態なので、もう少しで見逃す所でした。塗りは褒められた物ではありませんね。はみ出しなど甘い有様で、ひび割れや塗り忘れなど、すさまじいとしか言えない物で絶句してしまいました。非常に残念な気がしました。トイラジは、おっしゃるとおりに、ほとんど知りませんでした。いろいろな勉強のためという事もあって、あえて購入してみました。 電池を入れて動作確認したあと、走行する前に開けて受信側の基板を眺めています。データシートがあると、解析が非常に楽ですね。

  9. kyu より:

    ラジカン倶楽部の86のことでしょうかね。ご購入おめでとうございます。塗装、やっぱりいまいちでしたか。個体差なのかと淡い期待をしていました。今にして思うと、旧ラジカンの仕上がりはかなり良かったです。コストダウンの余波を思いっきりかぶっているような気がします。

  10. まるは より:

     文章を途中で消して書いたため、途中の文章が抜けて、意味不明の書き込みになってしまいました。申し訳ありません。再度。入手したのはラジカン倶楽部の86でした。ボディの出来はひどいの一言です。それより基板は写真で紹介されていた物でした。DIPタイプのICで、9ピンからのパターンには部品が付いていませんでした。以前購入したカスタマックスの基板を2枚発掘しました;;;同じ型番のICですが、こちらはフラットパッケージを使用していますね。9ピンから「000」の表記がある0Ωの抵抗でGNDに繋がっていましたが、もう1枚は四角のマークが付いた部品でした。 チップ抵抗の取り外しですが、真横にコンデンサがあるので、パターンを切った方が早そうですね。

  11. まるは より:

     カスタマックスの受信基板は出てきたものの、肝心の送信機がなく、やっと部屋の中から発掘してテストする事ができました。今さらながら測定器は有難いと身に染みました。 早速オシロでノーマル状態を測定し、ターボONで、100パーセントとはいえない状況ですがPWMのデューティー比が変化しているのが確認できました。 次にチップ抵抗へのパターンをカットして見ると、スパイクノイズが入るものの、ほぼフルパワーに近い状況でした。このオシロの信頼性は値段程度という事かもしれませんが、傾向は分かった次第です。

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