ステアギヤを強化する

前回の続きです。

たまに右ステアが切れなくなってしまいました。静止して左に切り、すぐに右に切ると問題ない。こりゃだめだってことで、フロント周りを総バラシすることにしました。

ステアが「時々」切れなくなる現象は、ほぼ間違いなく例の状態だろうと踏んで、ステアリングモータAssyを分解します。ビンゴでした。同じところ、3段目小歯車が一枚歯こぼれしていました。

このギヤ、9Tで歯先円直径φ4.4なのでモジュールは0.4。スペースの都合でモジュールが小さいのも破損の一因だとは思いますが、アンダーカットで歯元が薄いのが強度不足の最大の原因だと思います。正転移歯車とかにできなかったのでしょうかね。まあ、転移歯車は設計上、軸間距離とかあわせるのも面倒だし、そもそも想定している外力がぜんぜん違うのでしょうから仕方ないとはおもいます。
残念ながら、手持ちのストックにはもうこの二段歯車はありません。さてどうしよう。これのためにもう一台買うのもいかがなものか。根っからの貧乏性のわたしは、破損したパーツや使えそうもないものなど、いろいろなガラクタを捨てずに溜め込んでいます。数台分のカスタマからとったモジュール0.4の歯車群を眺めることしばし。まずはだめもとで二個イチを試してみることにしました。要は、24T/9Tの二段歯車をつくればいいわけです。

半田ごてで融着

カスタマもXMODS EVOもステアモータのピニオンは9T。これと、小歯車だけが歯こぼれしている24Tを使います。
9Tピニオンのシャフト穴はφ1.0弱ですがこれをφ1.5強に拡大します。
歯こぼれしている小歯車を切り落とし、できるだけ平らに仕上げておきます。
シャフトで両者を串刺しにし、熱した半田ごてでピニオンの端面にある薄皮を熱溶着していきます。
最後に、歯幅を合わせるために、ピニオンの端面を削ります。これで終わりです。

修復はうまくいきました。融着した部分の強度も問題なし。でも1パック走らせただけでまた歯こぼれ。やっぱり根本的な強度不足なのです。

次に、真ちゅうの代替品をネットで探しました。インドアプレーン用でM0.4の品を見つけましたが、もちろん二段歯車ではない上に、あまりに高価。カスタマの新車を数台買ったほうが安い。ということでこの線もボツ。

ここでふと、近頃家庭内で流行っているミニ四駆PROのストックパーツを眺めていて思い立ちました。最終段だけモジュール0.5にしてしまおうと。ちなみにミニ四駆系のギヤはほぼすべてモジュール0.5です。

使用材料

使用するのはこの3つのギヤです。紫色のものは「AO-1014 8Tピニオンギヤセット(10個入り)」、オレンジのものは10T/16Tです。16T側を使います。

モジュール0.4で9T/24Tの軸間距離は6.6mm。対してモジュール0.5の8T/16Tでは計算値6.0mmですから、バックラッシが浅すぎることになります。本来は16Tのかわりに18Tあたりが妥当なところですね。

元の歯車の加工

歯こぼれした小歯車を切り落とし、穴をφ3.4のキリで広げます。

歯車の圧入

広げた穴に紫ピニオンのボスを圧入します。ピニオン中央の穴がちょっと大きいため、シャフトにはアルミテープを適量巻いて太らせます。仮組して歯幅を調整しておきます。

元の出力ギヤ

出力ギヤは、中央のボスとアーム部分だけ欲しいので、ニッパでパチパチと切断してしまいます。

出力ギヤ加工

オレンジギヤ16Tの中央を、先ほどのアーム部分がぴったり入るようにくりぬき、半田ごてで熱融着します。このギヤの材料、接着剤は効きません。こて先をクリーニングするのを忘れていたため、ちょっと見栄えが悪いですね。

裏側

裏側から見るとこんな感じです。

組み立て

全体を組み立てたところです。渋さや引っかかりを確認しながら、デザインナイフと耐水ペーパーで微調整します。
あとは元通り組み立てれば完成。

さて、結果はいかに。

コメント

  1. かっちゃん より:

    ミニ四駆をしていると、「FRP職人」という憧れの呼称がありますが、kyuさんの場合は、「ギア職人」といったところですね。
    毎度の事ながら、びっくりです。

  2. かっちゃん より:

    久しぶりにタミヤのHPを見てきました。
    「小さなモータ」を使ったギヤボックスなのか、モータを使った「小さなギヤボックス」なのか、何やら微妙な雰囲気ですが・・・
    ふむふむ。

  3. kyu より:

    そういわれて気づいたのですが、ギヤ加工の記事、多いですね(笑)
    ミニ四駆をはじめとしてタミヤのギヤものは好きなのですが、新製品速報10月号によると、来月下旬、新たに「ミニモーター用ギヤボックス」シリーズが発売されるようです。
    ミニモーターというのはイラストから察するに、カスタマやXMODS EVOのステアモータと同じサイズのようです。とすれば、ギヤの流用改造に幅が出ますから、ちょっと期待してます。
    難点は結構いい値段するってとこでしょうか。

  4. ibarakipon35 より:

    あのギアボックスたぶん35分の1の4ch戦車ラジコンで
    採用されたモーターに対応する形のようです。
    モーターの大きさは130とカスタマックスのステアモーター
    の間くらいの大きさだったと思います。

  5. kyu より:

    そうですか、違うモータなんですね。ちょっと残念。
    あとはギヤ自体の歯数とモジュールに期待です。

  6. まるは より:

    >新製品速報10月号
    いきつけの模型店にもタミヤの横に長い新製品チラシが送られてきていました。
    たしかに「ミニモーター用ギヤボックス」シリーズもあった気がします。
    金曜日、店に行って詳しい情報ないか聞いてみる事にします。

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